核家族化が進んだ現在では、高齢者の一人暮らしも珍しくありません。
そのため、亡くなると、いわゆる形見となる想い出の品のほか、家電や家具などたくさんの生活用品が「遺品」として遺ります。
遺品が大量にある場合、ご遺族で手分けして片付けや処分をするのはとても大変。
そんなニーズから生まれたのが、遺品整理業者です。
近年では、遺品整理は業者に依頼するというケースが増加しています。
この記事では、遺品整理を業者たのむと費用はどのくらいなのか、またどんな点に注意すべきかを紹介しています。

遺品整理の専門業者は、世間のニーズから誕生した

年を重ねるごとに増えていく、「もの」。
たとえ単身世帯でも、家電に家具に衣類にと、それなりの量の生活用品があるものです。
特に高齢者の場合は「もったいない」精神といって、使わなくなったものでも捨てずに取っておく傾向があり、身の回りのものの量は相当なものでしょう。
すると、遺品整理をいざご遺族のみで行うとなると、何日も、場合によっては何週間もかかることが予想されます。
例えば、家具や家電などは、自治体によって決められた回収日のルールに従って処分しなければなりません。
厄介なのは、「家電回収は第三月曜」「粗大ごみ回収は第二水曜」などと、「もの」の種類によって回収日が異なっていること。
そのため、すべてを処分し終わるまで何日もかかってしまうというわけです。

しかし、遺品整理専門業者なら、効率よく片付けて整理し、不用品はまとめて引き取ってくれます。
例えば、故人が賃貸にお住まいだった場合、期日までにすべての遺品を片付けて引き払う必要がありますよね。
こういったケースでは特に、遺品整理専門業者に依頼した方がスムーズでしょう。

遺品整理の相場

遺品整理の費用の相場は、地域によっても変わってきます。
今回は、青森など東北のケースを調べてみました。

● 基本料金

1K:約4万円から
1LDK:約6万円から
2LDK:約15万円から
3LDK:約20万円から

東京など都会の場合は、基本料金がもう少し高めです。
考えられる原因のひとつが、都市部では荷物を積み込むトラックの駐車スペースが近くにない場合がある点です。
そうなると、別途コインパーキングなどに停めなければなりませんので、駐車料金が加算されます。
こんな具合に、地域ごとの事情によって金額は左右します。
一方、広めの庭や駐車スペースのついた一軒家が一般的な東北では、住宅から遺品を運び出す作業がその分楽になりますので、都心部に比べると基本料金は低めになると考えられます。
ただ、住まいが広い分遺品の量が多くなる傾向があるため、場合によっては都市部のケースとそう変わらない金額になることもあるでしょう。
基本料金に含まれているサービスは、業者にもよりますが、不用品の回収や処分、権利書などの書類などの捜索費用、遺品の仕分け作業費用などとしているところが多いです。

このように、お住まいの広さによって金額が変わり、さらに遺品の量や現場の立地条件などによって金額が加算されていくとイメージしていただければよいでしょう。

こんなことも対応してもらえる! 幅広いサービス

遺品整理業者は、単に遺品をてきぱきと片付け、処分する品々をトラックに積んで去っていく、というだけではありません。
各社で様々なサービスを打ち出していますので、そのうちのいくつかをご紹介します。
ただし、業者によっては提供していなかったり、追加で費用が発生する場合もありますので、見積もりの段階で確認した方がよいでしょう。

● ハウスクリーニング

故人の住まいが賃貸の場合、全ての遺品を運び出した後で、日常生活で汚れがちなお風呂場などの水回りや、床や壁のホコリなどをしっかりハウスクリーニングしてもらえると、非常に助かりますよね。

● 女性スタッフによる対応

故人を亡くした哀しみがあまりに深い場合、よりご遺族に寄り添った丁寧な対応を期待したいですよね。
哀しみや心情への共感力が高いのは、やはり女性。
「もう遺品を見るだけでも故人を思い出して、つらい」などの場合に、この女性スタッフによる対応を依頼してみるとよいかもしれません。

● お焚き上げや供養

核家族化がすすみ、故人が所有していたお仏壇を引き取る遺族が誰もいない、などのケース、増えてきていますよね。
これは、故人の菩提寺や、それがない場合は業者が提携しているお寺などにお仏壇などを持って行き、適切にお焚き上げや供養を行ってくれるサービスです。

● 立会いなしでの作業

ご遺族がみな遠方に住んでいるというケースも、現在では珍しくありません。
ご遺族が仕事の都合などでそう何度も有休を取得できないなどの事情で、業者の遺品整理作業日に立ち会えないということもあるでしょう。
業者の中には、ご遺族の立ち合いナシで作業してくれるところもあります。
いわば、遺品整理作業を完全に業者にお任せできてしまうというサービス。
予め貴重品などある程度の遺品はご遺族側で整理しておくなど、準備をしたうえで依頼する方が安心でしょう。
また、遺品整理の過程で形見分けしたい遺品を捜索し、それぞれの遺族宛に発送手配してくれる業者もいます。

● 不用品買取サービス

故人が熱心に収集していたという骨董品やコレクション品。
ご遺族で誰も引き取る方がいないという場合、処分や廃棄してしまうのはもったいないですよね。
古物商許可証を持つ遺品整理業者なら、買取を相談できます。
骨董品だけでなく、比較的新しい家電や価値の高そうな家具なども、買い取ってもらえる可能性が高いです。
買取金額を遺品整理の費用から差し引いてもらえることもありますので、聞いてみるとよいでしょう。

● ゴミ屋敷・特殊清掃対応サービス

近頃ニュースで騒がれる、ゴミ屋敷問題。
部屋という部屋がうずたかいゴミで占領されているなどの状況を、テレビなどで目にした方も多いことでしょう。
また、事件や事故、孤独死などで、住居が著しく汚れてしまった場合。
これらのケースでは、腐敗臭や害虫の発生などにより、ご遺族だけで片付けるのは健康被害などが心配され、危険です。
また、遺体から漏れ出た体液や、腐敗したゴミによるシミや汚れや臭いで、一般的なハウスクリーニングでは部屋がきれいな状態に戻らないことも。
遺品整理業者の中には、こうした特殊なケースの清掃に実績がある専門業者もいます。
状況によっては高額になることもありますが、無理をせずにプロに任せましょう。

このほか、遺品整理後に空家となった不動産や乗用車の買取相談、相続の相談などができる遺品整理業者もいます。
ご自身のケースに一番適した業者を探してみましょう。

こんな場合は高くなることも

● 一軒家より集合住宅の方が高くなる?

遺品整理の料金は、「作業がしやすいかどうか」で決まるといっても過言ではありません。
例えば、アパートやマンションより、庭があってさらに業者がトラックを停められるような駐車スペースもある一軒家の方が、費用を抑えられる可能性があります。
アパートなどの集合住宅では、エレベーターが無かったり階段が狭いなどの場合、大型の家具などは運び出しにくくなるので、その分どうしても費用は高めになる可能性があります。
さらに、建物の周辺に駐車できるスペースがない場合、業者は近隣のコインパーキングを借りる必要が出てきますので、その分費用が加算されるでしょう。
その点一軒家なら、部屋から荷物を運び出すのもスムーズですし、トラックに積み込む前に荷物を一旦庭に置いておくこともできます。
また、その家の駐車場にトラックを停められれば、荷物を抱えた作業員の移動距離も少なくて済むので、その分費用を抑えることができるのです。

● 遺品の量の多さ

言わずもがなですが、遺品の量が膨大にある場合は当然費用も高くなります。
運び出す荷物の量が多ければ多いほど、その分作業員を増やしたり、荷物が満杯になるたびトラックを往復させたりする必要が生じるので、仕方がないでしょう。

● リサイクルできない、処分するしかない荷物がある

どこの地域でも、粗大ごみや家電の処分には費用がかかります。
そのため、処分するしかない状態の家具や家電などは、その分処分費用が加算されるでしょう。

● 急ぎの日程で依頼する場合

お住まいが賃貸のケースでは、期日までに荷物をすべて引き払う必要がありますよね。
「1日で片付けてほしい」「すぐにでも、可能であれば今日から遺品整理をしてほしい」などの急ぎの場合は、どうしても費用は高くなるでしょう。
特に「1日で」など、遺品の量に対して短い日程での依頼をすると、業者はその要望をこなすためにスタッフを多めに充てますので、その分人件費が多くかかります。

費用を抑えるコツ

● 複数の業者から見積もりを取って比較する

遺品整理の費用は特に規定がなく、各業者で独自に設定しているケースがほとんどです。
おすすめは、複数の業者をピックアップし、見積もりを取って比較してみること。
見積もりは無料とする業者も多いので、一度現地まで訪問してもらう方が正確な見積もり金額が出やすいでしょう。
なお、業者によっては料金だけでなく、提供しているサービスも異なっているもの。
気になる業者があれば、見積もりを依頼する前に、その会社のホームページでサービス内容や費用を確認したり、口コミなどの評判をチェックしておくと安心です。
一番ご自身の条件に適っていて、料金も納得がいくところに依頼するとよいでしょう。

● 不用品を買取してもらう

遺品整理業者の中には、遺品整理と同時に不用品の買取りサービスをしてくれるところもあります。
古物商許可を持つ業者がこれに当たるのですが、もし家電や家具などを買い取ってもらえた場合、遺品整理の費用全体から買取金額を差し引いてもらえるので助かります。
業者によっては、貴金属や骨董品の鑑定士がいるところもありますので、事前に確認してみるとよいでしょう。
環境への配慮が求められる昨今では、「いらなくなったから」と全て処分や廃棄することに抵抗感がある方も多いことでしょう。
ただ、査定金額がつくかどうかは、遺品の状態にもよります。
例えば家電なら、余りに年式が古かったり、故障している場合は買い取ってもらえないこともあります。
それなりにまだ新しく、故障もしていないという場合は、予めホコリや汚れをふき取っておくなどきれいにしておくと、よい金額で買い取ってもらえることが期待できます。

● 自分である程度遺品を整理しておく

「終活」という言葉もだいぶ一般的になり、残される親族に負担をかけたくないと、健康なうちに自ら身の回りのものを少しずつ処分する生前整理を始めている方も増えてきています。
遺品整理費用は遺品の量が多ければ多いほど、高くなります。
そのため、少しずつでも整理を進めて遺品の量を少なくしておくと、その分費用は低く抑えられるでしょう。

費用は相続人が自腹で支払う方がよい理由

遺品整理は、それなりに費用が掛かります。
そのため、業者への支払いの際に、「遺品を遺した故人の財布からお金を出そう」と考えがちですが、それは避けた方がよいでしょう。
故人によっては、死後、思わぬ借金が発覚するなど、相続放棄をした方がよいケースもあります。
遺品が大量にあると、一見負債など無いように感じてしまいがちですが、もし遺品整理費用を故人の財産から支払ってしまった場合、もう相続放棄ができなくなることがあるためです。
遺品整理の段階で、まだ相続財産がどのくらいか、借金などが残ってないかなどが不明なら、費用は相続人が払った方がよいでしょう。

遺品の貴金属などを業者に買い取ってもらう場合も同様です。
「遺品整理の費用が少しでも安くなるなら」とついすぐに売却したくなりますが、同じく相続放棄ができなくなることがあるので注意が必要でしょう。

できれば、遺品整理を業者に依頼する前に、まずは故人が遺した財産や借金についての正確な把握に専念した方がよいでしょう。

悪徳業者に注意

遺品整理業者は、日本全国にたくさん存在します。
しかし、実際は玉石混交の状態で、依頼するとトラブルにつながるような悪徳業者も残念ながら存在ます。
最後に、トラブル事例や悪徳業者の見分け方をご紹介します。

● 聞いていない追加料金を請求され、高額になった

多くの悪徳業者は、「格安料金」を謳って集客します。
しかし、いざ依頼してみると、見積もりの時には聞いていなかった追加料金を提示され、結果的に予想外の高額な出費になってしまうというのがよくあるパターン。
しかも、既に遺品をトラックに積み終えた後だと、キャンセルしようとしても今度は「積み下ろし作業料」としてさらに費用を請求されたり、高額なキャンセル料をとられたという事例もあります。

● 不法投棄

同じく格安料金や無料回収を謳う業者に多いトラブルが、回収した遺品を山谷に不法投棄されることです。
今はリサイクル法などの整備により、不用品の処分には何かとお金や手間がかかるのが普通です。
無料や格安料金で引き受けていては、利益が出るわけがありません。
悪徳業者がコストを浮かせるために山や空き地に不法投棄していた場合、摘発されると、業者が罪に問われるのはもちろんですが、依頼人にも責任が及ぶ可能性があるので注意しましょう。
何より、故人が大事に使っていた遺品が山野に捨てられることほど哀しいことはないでしょう。
無料で回収・格安料金などと都合の良いことばかりを言う業者には、釣られないようにしましょう。

● 社名や連絡先が載ったホームページを持ち、必要な許可を取得している業者を選ぶのがおすすめ

悪徳業者の多くは、クレームの連絡が来たり特定されたりを防ぐため、社名や連絡先を明示していないところが多いです。
例えば、トラックの車体に業者の名前が入っていない、ホームページを持っていないというのがその典型です。
こうした業者は飛び込みで現れたり、不用品回収をアナウンスしながら住宅街をトラックで流していたりしているケースが多いです。

実は、不用品回収業者には、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要。
さらに、不用品を買い取れるのは、古物商許可証を持った業者のみです。
きちんと必要な許可を取っている業者なら、ホームページにその旨が記載されているはずなので、その点も必ず確認しましょう。
最近は、故人の想いを尊重した遺品整理ができることを示す、遺品整理士の有資格者を置いている業者もあります。
より細かな心配りが期待できますので、その点も確認してみるとよいでしょう。

おすすめは、ホームページの確認と一緒に、口コミなどの評判にも目を通しておくこと。
遺品整理業者には、ご遺族の悲しみをそれ以上深めることがないよう、特に丁寧な対応が求められます。
適切な料金体系、あるべき許可の有無も大切ですが、業者の対応についての評判も抑えておくと、より安心して依頼できるでしょう。

まとめ

遺品整理を業者に依頼するメリットと、その費用相場についてご紹介しました。
少子高齢化によって高齢者の単身住まいが増える昨今、いざ亡くなったときに、家具や家電などの身の回りの品々も遺品として遺ります。
ご遺族だけで片付けるには、日数も労力もかかるため、遺品整理の専門業者に依頼するケースが増えているのです。
費用は、お住まいの広さによって変わります。
東北なら、1Kですと4万円からという業者が多いようです。
ただ、遺品の量や条件によって金額は変わります。
遺品整理業者は各地にたくさん存在しますので、複数の業者から見積もりを取ってじゅうぶん比較し、口コミなどの評判もチェックして、最適な業者を選ぶのがおすすめです。